幹細胞市場の可能性|再生医療分野の市場動向とリサーチレポート

この記事の概要
  • 再生医療分野はIT分野と並び、大きく発展すると予想される分野
  • 臨床試験の結果は「成功した」「成功していない」のall or nothingで報告される傾向にある
  • 再生医療とリンクして、大きな動きになると予測されているのはがんの治療の分野

再生医療は、IT分野と並んで、今後大きく発展すると予想されている分野です。そうなると経済的にも注目され、市場がどのような動きをするのか、どの企業が伸びるのかなどが話題になります。

さらに、コロナの感染拡大によって、医療系の市場は大きく動いています。コロナ感染拡大の抑制につながる研究、技術を巡って、市場は敏感になっています。

この記事では幹細胞市場について解説します。

目次

1. 幹細胞市場とは

幹細胞も再生医療だけでなく、コロナ抑制にも活用する動きがあり、市場の中心になっています。こういった市場の動きは、個人で情報を集めるには限界があります。それこそ時間単位で出てくる新しい情報を集め、分析することは個人ではかなり難しいことです。

幹細胞市場の難しさは、世界中で行われている臨床試験の情報集め、そしてその結果の評価にあります。新聞などで示される臨床試験の情報は「成功した」「成功していない」のall or nothingで報告される傾向にあります

「成功した」場合、どう成功したのか、臨床への実用化においてどの辺に位置するのか、あとどのくらいで実用化できるのか、について正確な情報を一般のマスコミに求めることは不可能です。また、成功していない、の場合、ここで開発が中止となるレベルなのか、改良、改善を経て再度開発のレールに乗るのかを一般の人が判断することはほぼ不可能です。

さらに、情報が入ってくる先も、最近では多様化しています。一時期、北米大陸、特にアメリカにおける臨床試験数が世界では突出しており、アメリカからの情報を押さえておけば、幹細胞市場の流れはほぼ予測できたのですが、現在はアジア、太平洋地域が急速に臨床試験数を伸ばしており、この地域からの情報が無視できない状況です。特にこの地域では、実用化、ビジネス化のハードルが低い皮膚科学についての研究開発が多く、それに伴って資金の移動も頻繁に行われています。

そして再生医療のポイントとなる、幹細胞の供給元、つまり幹細胞バンクの動きにも注視する必要があります。再生医療関連の研究施設、医療施設の増加に伴い、各国政府による幹細胞バンクの設立の動きが増えています。この動きは市場にも影響を与え、多くの分野で治療方法、技術が十分に確立されていない現状では、どの研究・医療施設、そしてそこに幹細胞を供給する幹細胞バンクが主導権を握ってもおかしくない状況が続いています。

この動きは、1つのブレイクスルーによって収束、主導権を握るグループへの集中が進むとは現時点では考えにくく、群雄割拠的な状況は今後10年間くらいは続くと予測されています。これは、「一人勝ち」のグループ出現のためには、複数のブレイクスルーが必要であり、そのブレイクスルーは単独の企業、施設ができるものではないレベルだからです。投資にはどこがリードしているか、といった情報が不可欠であり、複雑に絡み合った情報に正確にアプローチするためには、プロの分析を経たレポートが必要です。

2. 大きな動きがあるがんと幹細胞の分野

そして、再生医療と共に、または再生医療とリンクして、大きな動きになると予測されているのはがんの治療分野です。幹細胞を使ったがん治療については、実用化目前のものが多く、市場はこの治療を巡って日々動いています。

世界保健機関、WHOの2018年のデータでは(推定値)、1018万人のがん患者と、960万人の死亡者が予測されています。このレポートは、Cancer Research UKにレポートされたもので、2040年までの動きを予測しています。

2040年には、1年単位でみると、2750万人のがん患者が毎年発生すると予測されています。これは、2040年までの人口動態とリンクして解析されたデータであり、予測としてはかなり正確ではないかと考えられています。

がん患者に対する治療方法は、外科的治療、全身化学療法などがありますが、抗がん剤投与が中心の化学療法、または放射線照射による放射線療法は、がん細胞をターゲットにするだけでなく、造血幹細胞も破壊してしまいます。この破壊された造血幹細胞を回復させるために、造血幹細胞を移植する治療事例は今後増加していくと見込まれています。

こうした企業の動きは、様々な情報ソースをもとにする市場レポートによる情報収集が効率的です。

現在、多くの市場レポートでは、胚性幹細胞(ESC:Embryonic stem cell)と成体幹細胞を比較すると、ESCは全能性が高い、成体幹細胞は全能性が低い、そしてESCは寿命がほぼ無制限なので、ESCは幹細胞市場の中心となり得る細胞であるとしています。

しかし、ESCは受精卵を犠牲にしなければならないため、倫理的な問題を常にはらんでいます。今後、ESCに匹敵するレベルの全能性、寿命を持つ幹細胞が技術革新によって作成が可能となる事も考えられますが、こういった技術の進捗レベルもレポートによって情報がもたらされます。

幹細胞市場は、生命倫理が深く関係する産業分野ですので、企業の動きだけでなく各国政府の規制、政策も大きく関係します。

そのため、企業の動き、株価などの動き以外にも、幹細胞市場に大きな影響を与える国がどのような規制を作るのか、どういう政策を発表するのかによって市場の動きは変わってきます。幹細胞市場に注目するということは、様々な方面からの情報を集める必要があり、かなりの労力を必要とします。

3. リサーチレポートを活用する

このように多方面からの情報収集が必要な市場の動きを把握するには、証券会社などの出している市場レポートを参考にするのが効率的です。Ameliorate Solutions Group CompanyのMARKET INSIGHTS REPORTSは、市場の動きをレポートとして出している情報源の1つです。ここでは、COVID-19の影響を考えたレポートによって、投資家などに情報を提供しています。

現在、幹細胞市場は激しい競争に置かれていることは想像に難しくありません。現時点で圧倒的に市場を支配している企業はなく、アメリカ、マサチューセッツ州に本拠があるThermo Fisher Scientific(サーモフィッシャーサイエンティフィック)、ミズーリ州セントルイスに本拠を構えるSigma-Aldrich(シグマアルドリッチ、現在はMerkが子会社化)、ニュージャージー州のBecton, Dickinson and Company(ベクトン・ディッキンソン アンド カンパニー)、カナダ、バンクーバーを拠点とするStem Cell Technolosies(ステムセルテクノロジーズ)が激しい競争を展開し、その結果市場全体の競争力が上昇傾向にあります。

さらに、新技術の開発によって新規企業が次々と参入している状況であり、将来的にどこが主導権を握るのかは予測がなかなか難しくなっています。こういった情報を統合して、2020年から2025年の予測レポートをMARKET INSIGHTS REPORTSは出しています。

サンプルレポートは、こちらからリクエストできますが英語サイトです。すぐに検索ウインドウがありますが、ここに入力するキーワードは英語である必要があります。

2020年から2025年にかけての幹細胞市場について、現時点で予測される展望はこちらのサイトにあります。

このサイトでは、すでにCOVID-19の影響を追跡しており、2025年までのレポートとしては常に最新の情報にアップデートされています。また、リクエストによって、こちらから知りたい情報、重点的にレポートして欲しいポイントを指定できるので、求める市場分析レポートとの乖離がほとんどありません。

Market Insights Reportsは、生命科学・ヘルスケアだけでなく、IT技術、化学物質、材料工学、エネルギー、重工業といったあらゆる分野でのレポートに対応しています。このレポートは、統計的なデータに基づく予測、現時点での競合状況、詳しいセグメンテーション、傾向、そして戦略的見地からの投資家に対する推奨事項が含まれています。

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