採取した幹細胞を増やすには?「培養」と「継代」を徹底解説

目次

「培養」とは、微生物や細胞などを人工的な環境で育てて増やすことです。

初代培養

「初代培養」とは、採取した細胞を最初に播種(はしゅ)して培養することです。

つまり、種(採取した細胞)を畑(試験管やシャーレ)で育てる(培養する)ことを言います。

継代培養

「継代培養」とは、細胞が増殖して増えてきたら、その細胞の一部を新しい培地(野菜で言えば畑のこと)に移し替えて、継続して増殖もしくは維持させることを言います。

ちなみに、この細胞が性質を保ったまま安定的に培養できる状態になったものを細胞株と呼んでいます。

細胞の継代

1つの試験管やシャーレで増殖させるには範囲に限界があります。

細胞は同じ環境で増え続けると、その密度が高くなり、細胞でいっぱいになると増えるのをやめてしまいます。密になってくることで、「これ以上は増やせられないよ!」とブレーキをかけるのです。

その後、細胞は老化してしまったり、死んでしまったりする可能性が高くなります。

そうなる前に、一部の細胞を新しい培地にお引越しさせることを「継代」と呼んでいます。

「継代」の時期

培養をはじめると、細胞はその環境に少しずつ適応していきます。その間、細胞は増殖するための準備を整えています。

この時期を「誘導期」と言い、比較的細胞の成長が遅い時期になります。

細胞は環境に適応すると、培養地の栄養を消費しながらどんどん増殖していきます。

この時期を「対数増殖期(たいすうぞうしょくき)」と言います。

増殖した細胞により培養地が密になってしまうと、細胞の活動は停止または減退します。

この時期を「定常期」と言います。

定常期を過ぎると細胞は死んでしまいます。この時期を「死滅期」と呼んでいます。

■2種類の細胞と、それぞれの継代の方法

「継代」は、細胞の種類によって培養の方法や条件が異なります。

【1】接着性細胞

細胞をシャーレに乗せると、細胞の表面はその面にくっついて増えていきます。これを「接着」と言います。

細胞は球のような形ですが、接着すると敷石のように平らな状態になります。平らな形に変形することで安定した状態で増殖することができます。これを「接着性細胞」と言います。

※汎用性のある間葉系幹細胞(MSC)は接着性細胞の代表的なものとなります。

接着性細胞の継代

接着性の細胞は、試験管やシャーレなどの容器の表面が細胞でいっぱいになってしまい、消費する栄養分がなくなるまで成長します。

こうなる前に「継代」を行います。

継代の手順

  1. 顕微鏡で細胞にバクテリアやカビなどが混入していないか、細胞の増殖の程度などを確認する。
  2. 問題なければ、培地を取り出す。
  3. 細胞を洗浄用の液を使って洗浄する。
  4. 細胞を剥離させるため、トリプシンを添付する。
  5. 5 分前後、温める。
  6. 顕微鏡で細胞を観察する。
  7. 新しい培地をシャーレに加えて懸濁(液体の中に個体を混ぜること)する。
  8. 温めた培地が入ったシャーレに細胞まく。
  9. 必要に応じ、この手順を繰り返す。

【2】浮遊性細胞

浮遊性細胞とは、細胞をシャーレに載せた時に、細胞の表面が面にくっつかない細胞を言います。

浮遊性細胞の継代

浮遊性の細胞の継代は、比較的簡単にできます。培養した容器の表面から細胞をはがす手間がないので、細胞を傷つけるリスクも少なくて済みます。

浮遊性細胞の継代の手順

  1. 細胞の入った培養液の一部を培養液ごと新しいシャーレに移動させます。
  2. その培養液を希釈します。
  3. 希釈した培養液の中で細胞を新たに増殖させます。
  4. この手順を 2 ~ 3 日おきに繰り返します。

幹細胞の継代

現在、実際に再生医療として治療に用いられているのは、幹細胞のうち体性幹細胞だけです。

特に間葉系幹細胞はさまざまな細胞に分化できる能力があるので重宝されます。

体性幹細胞の種類はというと、

  1. 皮膚幹細胞
  2. 角膜幹細胞
  3. 骨髄間葉系幹細胞
  4. 脂肪間葉系幹細胞

などがあります。

これらはヒトの組織の中に存在します。

自分自身の細胞を用いれば拒絶反応のリスクが低く、生着も良いことがわかっています。

幹細胞を実際の医療や創薬の研究に利用するためには、安定した量の幹細胞が必要となりますが、細胞の培養には、人手と時間、そしてコストがかかります。

先に述べたように幹細胞はセンシティブなものなので、滅菌等の設備が整った施設も必要となります。

近年ではこのような課題を解決するために、作業を自動でできる自動培養装置が開発され、培養地の交換はもちろん継代も自動的に行ってくれます。

また、自動培養装置が顕微鏡の映像を分析し、継代のタイミングを決めてくれますし、これまで人の手で行っていた細胞を洗ったり、はがしたりする細やかな作業も装置でできるようになりました。これにより、多くの細胞を自動的に作ることが可能となり、今後の実用化への期待がさらに高まっています。

当機構の役割とは?

当機構は、『様々な病気やケガ、体の悩みなどを抱えているにも関わらず、これまでの医療では解決できなくて苦しんでいる』という方々に、幹細胞の力によってその問題を解消するだけでなく、より豊かな人生を歩んでほしいという願いを持っております。

幹細胞は人類の未来への大きな希望ですので、今後一人でも多くの人に幹細胞の情報を知っていただき、活用していただきたいと思っています。

当機構は、そのために当サイトを通して、できる限り多くの情報を提供していきます。

また、今、目の前の問題を抱えている方からご相談をいただいた際には、少しでもお力になれるよう、個別でその方に応じた情報を提供をさせていただきます。

当機構の詳しい役割や、幹細胞に関する最重要事項はこちらの記事で解説しています。

是非一度ごらんください。

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