この記事の概要
  • インターロイキンは30種類以上が特定されており、免疫に関与する細胞から分泌されるサイトカイン
  • インターロイキンの医療への活用・応用は、現時点では限定的なレベルにとどまっている

インターロイキン(Interleukin)はサイトカイン(Cytokine)に分類される分子です。

この記事では、インターロイキンについて、およびサイトカインについて解説します。

1. インターロイキンとは

サイトカインは、細胞から分泌される生理活性物質で、低分子のタンパク質(小さなタンパク質)の総称です。細胞と細胞が互いに影響し合う際に使われる分子で、様々なタイプの細胞から分泌されます。そのため多くの種類を含み、細胞も多様です。そして、まだ全容が解明されておらず、様々な現象(感染への応答、免疫、炎症、がん、生殖など)で研究が進められています。

機能はホルモンと似ているため、サイトカインとホルモンの違いについては明確ではなく、その違いについても現在研究が行われています。サイトカインに含まれる物質は、インターロイキンの他に、ケモカイン、インターフェロン、リンホカイン、腫瘍壊死因子などです。

インターロイキンは、主に免疫に関与する細胞から分泌されるサイトカインで、免疫機能に非常に重要な分子です。インターロイキンなしでは免疫機能は成り立たない一方で、自己免疫疾患、免疫不全などの疾患にも関係しています。現在もまだ解明のための研究が進められており、分子によってはモノカイン、リンフォカインに分類されるものもあります。

インターロイキンの解説に入る前に、免疫に関与する細胞を解説します。

T細胞 リンパ球の一種で、他のT細胞の機能を誘導する、B細胞の分化成熟などに作用します
B細胞 リンパ球の一種で、抗体産生が主な仕事です
NK細胞 ナチュラルキラー細胞(Natural Killer Cell)と呼ばれる細胞で、腫瘍細胞やウイルス感染細胞に対して攻撃を加えます。抗体などからの情報を受けずに攻撃が可能なため、感染した場合にまず最初に働く細胞と言えます
Th1細胞 大きな分類で、T細胞の亜群と言える細胞です

そして、インターロイキンは現在30種類以上が特定されています。以下に、その30種類の中で機能がある程度特定されているものを挙げます。

  • インターロイキン 1:マクロファージから分泌されます。炎症反応に関与し、炎症性サイトカインと呼ばれるグループに属しています。
  • インターロイキン 2:T細胞から分泌され、T細胞自身の増殖と分化を促進させる作用を持っています。がんの免疫療法に使われるインターロイキンはこれです。
  • インターロイキン 3:T細胞から分泌されるインターロイキンで、骨髄幹細胞に関与します。
  • インターロイキン 4:アレルギー反応で重要な役割を担うインターロイキンです。B細胞の増殖、T細胞と肥満細胞の分化に関与します。
  • インターロイキン 5:B細胞に働きかけ、IgA(免疫グロブリンA)を分泌させます。また、好酸球とも関係があります。
  • インターロイキン 6:炎症、免疫疾患の発症に関係するインターロイキンです。T細胞やマクロファージによって産生されます。
  • インターロイキン 7:免疫細胞の生存、分化、恒常性の維持に関与します。B細胞、T細胞、NK細胞は、このインターロイキン 7に大きな影響を受けています。
  • インターロイキン 8:好中球の性質と行動に関与します。
  • インターロイキン 9:肥満細胞を刺激する作用を持ちます。
  • インターロイキン 10: Th1サイトカインの産生を阻害する作用があります。
  • インターロイキン 11:免疫における急性期タンパク質の産生を誘導します。
  • インターロイキン 12:NK細胞を刺激し、分化を誘導します。
  • インターロイキン 13:B細胞の増殖と分化を誘導します。また、Th1細胞を抑制することによって、マクロファージの炎症性サイトカイン産生を阻害します。
  • インターロイキン 14:活性化したB細胞の増殖を誘導します。まや、B細胞の抗体産生を抑制する作用もあります。
  • インターロイキン 15:末梢血単球と上皮細胞から分泌されます。キラーT細胞の活性化と、B細胞の増殖、分化誘導に関与します。
  • インターロイキン 17:炎症サイトカインの産生を誘導します。
  • インターロイキン 18:インターフェロンγの産生を誘導します。

2. 細胞の分化誘導をするインターロイキンとその医療への応用

インターロイキンのいくつかは、細胞の分化に関与します。インターロイキン3は骨髄幹細胞を刺激し、分化シグナルを活性化します。

その他の免疫に関係する細胞は、T細胞がインターロイキン2、4、7による分化誘導を受け、B細胞はインターロイキン7、13、15、NK細胞はインターロイキン7、12、肥満細胞はインターロイキン4の関与によって分化がコントロールされています。

インターロイキンは、基本的に、細胞に存在するインターロイキンの受容体を結合し、シグナル伝達経路を活性化させます。受容体は細胞膜に突き出た形で存在し、細胞膜の外側にある結合部分にインターロイキンが結合すると、細胞膜内の受容体の部分が活性化し、細胞質中に活性化シグナルを送信します。

1954年に長野泰一博士によってインターフェロンが発見されたことが、インターロイキンが含まれるサイトカイン研究の第一歩と言われています。その後、1960年代後半から1970年にサイトカインの研究の土台が形成され、現在に至ります。

しかし、細胞間相互作用の分子レベルでの研究は歴史が浅く、まだわかっていないことが多いのが現状です。免疫細胞の分化誘導に重要な働きをすることはわかっていますが、全てが解明されているわけではなく、今後の研究を待たなければならない部分も多く存在します。

インターロイキンは免疫に重要な分子ですので、身体にとって有用な分子という印象を持たれるかと可能性がありますが、インターロイキン17については、炎症性サイトカイン、ケモカインの産生という機能の他に、がん細胞の血管新生誘導(がん細胞の塊内に血管を引き込むことによって、酸素・栄養をがん細胞に供給し、転移するがん細胞の通路となる)、腫瘍細胞の生存促進に作用することが複数の研究グループから報告されています。また、自己免疫疾患、免疫不全の疾患などにもインターロイキンの中では関わるものがあり、これらの疾患との関わりについてはさらなる研究が必要です。

しかしそれらの研究には非常に高いハードルがあります。こういった現象は、培養細胞を使って得られた結果(つまり実験室内の細胞で得られた結果)と、実際の身体の中で起こっていることとでは、異なるポイントがいくつか存在する、という事です。

人体実験は倫理的に大きな問題があるため、現在細胞工学の分野などでは、「培養細胞の状態を性質、環境共になるべく体内と似た状況にして医学研究に役立てる」という目標の下に、実験室で身体環境を再現する研究が盛んに行われています。

インターロイキンを医療に用いるとなれば、免疫系だけでなく他の身体の部分で何が起こるのか?についても知らなければ医療に使うことができません。全く使えない、というわけではありませんが、現時点では使用・応用は限定的なレベルにとどまっています。

例えば、免疫細胞をインターロイキンで分化して身体に投与するよりは、幹細胞を投与して体内環境でのインターロイキンを使って免疫細胞に分化した方がリスクが少ない、という事も考えられます。

今後、このインターロイキンがどのように医療に使われていくかは、医学のみならず、細胞工学、基礎細胞生物学などの研究による新しい研究方法の開発、そこから得られる研究結果に依存している部分が多いと予想されています。

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