この記事の概要
  • 幹細胞を使ったアンチエイジングには、国から認可を受けた幹細胞治療と、培養上清治療がある
  • 幹細胞治療は、しわやたるみ、ニキビ跡やクレーター、ほうれい線や目元の老化に効果が高いとされている

年齢を重ねていくと、だんだんとお肌のトラブルが気になってきますね。

肌の老化は20代から始まっていると言われています。

加齢による女性ホルモンの低下や、紫外線によるダメージ、乾燥による水分不足などがその原因とされています。

肌の老化に対して、アンチエイジング対策という言葉を耳にすることがありますが、「アンチエイジング」と聞くと若返りをイメージする方が多いかもしれません。しかし「アンチエイジング」言葉は、本来「抗老化」、つまり老化に抵抗するということを意味しています。加齢に伴う老化のスピードをゆるやかにして、良い状態を保つといったイメージといえばわかりやすいでしょうか。

肌の「アンチエイジング」には、生活習慣や食生活の改善、スキンケアなど様々な方法があります。

最近では、幹細胞の性質を利用し、肌の老化や肌質の改善を目的とした幹細胞治療を行うクリニック等が多くみられるようになってきました。

今回の記事では、肌に対する幹細胞治療について解説していきます。

1. 肌の構造とはたらき

肌は大きく分けて、外側から表皮、その次の真皮、さらにその奥の皮下組織の3層で構成されています。それらの層は、さらに細かい層や組織からなっており、それぞれがさまざまな役割を担っています。

1-1. 表皮の構造とはたらき

表皮は、肌の一番外側にあります。厚さ約0.1~0.2㎜で、外側から角層(角質層)・顆粒層(かりゅうそう)・有棘層(ゆうきょくそう)・基底層の4層に分かれていて、その大半はケラチノサイトと呼ばれる細胞で占められています。

ケラチノサイトは、一番奥の基底層で作られ、細胞分裂を経て徐々に形を変えながら外側の角層に押し上げられていきます。最終的にはアカとなりはがれ落ちます。このサイクルをターンオーバーと言います。

表皮には、細菌やウイルスなどの異物の侵入や肌の水分蒸発を防ぐはたらきや、紫外線などの刺激から肌を守るバリア機能の役割があります。

また、基底層にはメラノサイトと呼ばれる色素細胞があり、メラノサイトから作られるメラニンは紫外線を吸収し肌への影響を抑えるはたらきをしています。

1-2. 真皮の構造とはたらき

表皮の下にある真皮は、厚さ2㎜程度でその約70%がコラーゲンで構成されています。コラーゲンは、繊維状のたんぱく質で網目のように並んでいます。肌のハリ弾力を保つ役割があり、その間は「基質」と言われるゼリー状の物質によって埋められています。その代表がヒアルロン酸です。

ヒアルロン酸は水分を蓄える機能をもっているため、肌の保湿や肌に潤いを与える役割を担っています。さらにエラスチンという弾力のある繊維状のたんぱく質がコラーゲン繊維を支え、肌の弾力を保つはたらきをしています。

コラーゲンやエラスチンなどの線維を作り出す細胞を線維芽細胞といい、傷ついた肌を修復する時にも、この線維芽細胞が活躍します。

その他、真皮には血管やリンパ管、皮脂腺、汗腺などがあります。

1-3. 皮下組織の構造とはたらき

皮下組織は真皮のさらに奥、3層の一番内側に位置しています。そのほとんどが皮下脂肪で真皮と表皮の土台のような役割をしています。皮下組織は2㎜~9㎜ほどの厚さがあり、体では10㎜を超える部分もあります。他の組織に比べ分厚いのが特徴で、外部の衝撃から守るクッションのような役割をしています。

また、皮下脂肪には熱が伝わりにくいという特性があり、保温効果や断熱効果などの他、エネルギーを脂肪として蓄えるはたらきがあります。

2. 肌の機能と幹細胞治療

肌には、異物や外的な刺激、乾燥などから肌を守るバリア機能、ターンオーバーによる新陳代謝機能、衝撃から守る緩衝作用、また、保温や断熱といった体温調節機能があります。これらの機能は、加齢や炎症、紫外線等の影響により日々衰えていきます。

加齢により新陳代謝機能が低下するため、ターンオーバーの周期も遅くなります。その周期は20代で28日、30~40代では45日ほどかかると言われていて、加齢とともに傷跡が治りにくくなったり、くすみやしわができやすくなったという声をよく聞くのはこのためです。

そこで注目を集めているのが様々な細胞や組織に分化できる能力(多分化能)と自分と同じ能力を持つ細胞に分化できる能力(自己複製能)をもった「幹細胞」です。「幹細胞」の働きに注目した肌の治療には、大きく分けて「幹細胞治療」と「幹細胞上清液治療」の2種類があり、再生医療やアンチエイジング効果に期待が寄せられています。

2-1. 幹細胞治療

国内で認可されている幹細胞治療は、自分自身の幹細胞を採取し培養・増殖させたのち、気になる部分に直接注入したり、点滴により注入することで衰えた機能を回復させる方法です。急激な効果はありませんが、メスを使ったり傷をつけたりすることなく治療が可能で、幹細胞を注入した後はゆっくりと効果が現れていきます。

しわやたるみ、ニキビ跡やクレーター、ほうれい線や目元の老化などに効果があるとされています。

2-2. 培養上清治療

培養上清とは、幹細胞を培養する際に用いられた培養液で、その培養液を遠心分離させ、そこから細胞や不純物を取り除いた上澄み液のことをいいます。 この治療には上澄み液のみを使用するため、幹細胞は含まれていません。

幹細胞の培養液には、サイトカインや成長因子など500種類以上の有効成分が含まれています。サイトカインは、幹細胞が持つ多分化能や自己複製能を持っていませんが、細胞同士の情報伝達を行い、損傷を受けた組織や細胞の機能を回復させるための重要な役割を果たしています。幹細胞上清液にはサイトカインが多く含まれているため「サイトカイン療法」と言われる場合もあり、細胞のはたらきを活性化させ、肌を若返らせる効果が期待されています。

培養上清治療は、皮膚の再生や毛髪再生、傷の治りをよくしたり、老化防止の効果があるとされていて、 局所に注射する方法、点滴により注入する方法、塗布する方法など様々な方法がありますが、治療内容等により適切な方法が選択されます。

3. 肌への幹細胞治療

肌への「幹細胞治療」は、どこでも受けることができるかというとそうではありません。幹細胞治療を行うには厚生労働省の認可を受け、治療計画書を提出、計画番号を取得する必要があります。その治療計画書に沿って治療が行われることになりますが、まずは、こうした手続きをしっかりと行い、国の認可を受けているかどうかをあらかじめ確認しておく必要があります。

一方で、「培養上清」を用いた治療は幹細胞が含まれていないため、必ずしも厚生労働省の認可を受ける必要がない場合があります。

「幹細胞治療」および「幹細胞上清液治療」は、多くの場合自由診療となるため、治療費が高額になる場合もあります。治療を選択する場合は、事前にしっかりと情報収集をしておくことが大切です。また、1回の治療で一生涯若々しい肌を保てるということではなく、定期的な治療が必要になる場合もあるため、しっかりと担当医と話し合い、納得の上で治療を開始することが重要となります。

4. まとめ

誰もがいつまでも若々しい自分でいたいという思いがあるでしょう。

「肌は年齢とともに老化する」これは事実です。しかし、適切なケアでそのスピードをある程度遅らせることは不可能ではありません。

現在も、肌のアンチエイジングの効果を高める方法として、数多くの製品が売り出され続けています。「幹細胞治療」や「培養上清治療」もアンチエイジングの効果を高めるための一つの選択肢です。

どの方法を選択する場合であっても、様々な情報を収集すること、納得したうえで選択を決定することが重要となるでしょう。

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