この記事の概要
  • アレルギーの分類としてⅠ型~Ⅴ型まで原因と症状が異なる
  • アレルギーに対しては、幹細胞の免疫調節機能が期待されている

日本人の約2人に1人がアレルギー疾患といわれる時代です。

花粉症や喘息などの症状や、ハウスダストや動物などあらゆるアレルギーが存在し、私たちの生活を苦しめています。

この記事では、アレルギーの種類と、幹細胞治療に関して解説します!

1. アレルギーとは

外来異物の侵入に対して、ヒトの身体は大きく分けて2つの免疫反応系、自然免疫と獲得免疫で対抗します。免疫反応は外来の異物を排除するために働き、外来異物は「抗原」と呼ばれます。

アレルギーは、この免疫反応が特定の抗原に対して過剰な反応を示すことを指します。「抗原」となると抗体が思い浮かびます。抗体は獲得免疫の重要な分子であるので、アレルギーは獲得免疫によるもの、と思われがちですが、最近の研究によって、抗体を介した免疫システムではない自然免疫も、このアレルギーに関与することが示されています。

免疫系の過剰反応であるアレルギーがなぜ起こるのか、についての原因は解明されていません。関与する分子、遺伝子は研究の結果からいろいろ示されていますが、大元の原因となるメカニズム、なぜ過剰な反応が起きてしまうのかはいまだによくわかっていません。

アレルギーの原因となる物質、特に環境由来の抗原をアレルゲンと言います。花粉、小麦、蕎麦、ダニ、ハウスダストなど様々なものがアレルゲンとなります。最近では、先進国において患者が急激に増加しているという報告があります。

2. アレルギーの分類

アレルギーは、起こるメカニズムによっていくつかのグループに分類されます。

I型アレルギーは、肥満細胞、好塩基球が抗原の刺激によってヒスタミン、セロトニンという生理活性物質の分泌が引き金となります。

これらの生理活性物質により、血管の拡張、透過性の亢進が起こり、むくみ、痒みなどの症状が現れます。

この反応は抗原が身体の中に入るとすぐに現れることから、即時型過敏と言われ、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、蕁麻疹、花粉症、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎などがこれに分類されます。全身性の反応が激しいことをアナフィラキシーと呼び、急速な血圧低下を伴うと、アナフィラキシーショックとなります。

II型アレルギーは、抗原によって活性化した白血球が細胞を破壊する反応から始まります。ウイルス性肝炎(B型肝炎、C型肝炎)がII型アレルギーの典型です。

ウイルスに感染した細胞を白血球が破壊するため、肝臓の細胞が破壊され、肝機能が低下します。代表的な疾患としては、ペニシリンアレルギー、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、リウマチ熱、重症筋無力症、円形脱毛症、特発性血小板減少性紫斑病が挙げられます。

III型アレルギーは、抗原、抗体、補体が結合した免疫複合体によって起こります。血液中に存在するこの複合体は、血流にのって身体を移動し、移動した先の組織を傷害します。

この傷害する部位が限定的であればアルサス反応、全身性であれば血清病と呼びます。アルサス型反応の典型例は過敏性肺臓炎、血清病の典型例は、全身性エリテマトーデス、溶血性連鎖球菌感染後糸球体腎炎です。

他に、II型アレルギーの疾患として、関節リウマチ、リウマチ性肺炎、アレルギー性血管炎、シェーグレン症候群、急性糸球体腎炎があります。

IV型アレルギーは、抗体と特異的に反応するT細胞が原因で起こります。抗体と反応して活性化したT細胞から、マクロファージを活性化するための生理活性物質が分泌され、この活性物質によって周囲の組織を構成する細胞が傷害されます。

他のアレルギーは、液性免疫ですが、IV型アレルギーは、細胞性免疫が関わります。そのため、リンパ球の集積が必要なため、活性化に時間がかかり、遅延型過敏症とされています。接触性皮膚炎、ツベルクリン反応、移植免疫、金属アレルギー、腫瘍免疫、ギラン・バレー症候群が代表例です。

V型アレルギーは、基本的な採用機序はII型アレルギーと同じです。細胞から生理活性物質が分泌され続けるために起こるアレルギーですが、II型と異なるのは、V型アレルギーが刺激性であるという点です。バセドウ病はこのV型アレルギーの典型例です。

3. アレルギーはなぜ増加したのか?

アレルギーの増加の原因は、様々な説が唱えられています。その中で、多くの研究者が唱えるのは、「清潔志向の生活様式が行き過ぎているためにアレルギーが増えているのではないか」という説です。

I型アレルギーに分類される、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、花粉症などが日本に現れたのはそれほど古くなく、今から50年から60年前です。スギ花粉症の患者は、1963年に日本で初めて見つかっています。

アレルギーについては、興味深いデータがあります。それは、日本人の寄生虫感染率の低下と共にアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、気管支喘息の患者の割合が増えてきたというデータです。

消化器系の寄生虫感染率は、1950年あたりまでは、50 %以上の感染率でした。つまり、日本人の少なくとも2人に1人には、なんらかの寄生虫が感染していたのです。実際に、寄生虫によるアレルギー発症抑制は、いくつか報告されており、抑制メカニズムも明らかになっています。

さらに、昔の日本人と比べると、現在日本人は腸内細菌数が少ないというデータもあります。ライフスタイルの変遷によって、寄生虫や細菌が排除されアレルギーが増えたという見方が現在主流となりつつあります。細菌、ウイルスから身を守ることは非常に重要ですが、過剰な清潔志向の生活は、長い目で見ると我々の首をしめることになるかもしれないと考えられています。

4. アレルギーと幹細胞

こういったアレルギーに対して、幹細胞が持つ性質は有効であるとされています。しかし、厚生労働省のヒト骨髄由来間葉系幹細胞の最適使用推進ガイドラインでは、アレルギー素因のある患者に対しての使用には注意を要するとあります。

このガイドラインは、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞のステラミック注について出されたものであり、自己の間葉系幹細胞を使った場合は、そのリスクを減らせる可能性があります。

アレルギーに対する幹細胞の期待される役割は、その免疫調節機能です。様々な全身性免疫疾患に対して、間葉系幹細胞移植療法の治療効果が報告されています。しかし、メカニズムの全容はまだ明らかになっておらず、断片的に解析が進んでいる状況です。そのため、治療は「とりあえず効果があるという報告があるのでやってみる」というのが現在の状況です。

間葉系幹細胞が、T細胞の機能を調節するという報告は比較的多く、分子メカニズムも解析が進んでいます。幹細胞治療と言えば、幹細胞を患者の機能を停止した細胞、または欠損した細胞に分化させて移植、または幹細胞自体を移植して必要な細胞に分化させる方法がよく知られています。

幹細胞にはそれ以外にも機能がいくつかあり、そのうちの1つ、そして比較的解析が進んでいるのが免疫機能の調節機能です。花粉症、アトピー性皮膚炎などのアレルギー治療における幹細胞の役割は、分化能ではなくその機能と、分泌する物質である可能性が現在は高いと考えられています。

また、アレルギー患者から採取した幹細胞を、アレルギー反応で重要な役割を果たす肥満細胞に分化させます。その肥満細胞を研究することによって、その人がどういったステップでアレルギー症状を起こすようになったのかを解析することも現在進められています。これは治療方法に幹細胞を使うのではなく、治療方法の確立に必要な基礎研究データを幹細胞を用いて取るという使い方です。

サイトカイン療法、またはそれに類似した名前で、幹細胞から分泌されるサイトカインを使って治療する医療機関では、ホームページ上で対象の疾患に花粉症などのアレルギー疾患を掲載しているところもあります。

しかし、現在は明確に効果があるというエビデンスは得られていない、と言っても良い状況です。もしかしたら効果があるかもしれないが、どういったメカニズムで効果が出ているのかはよくわからない、という段階です。治療を受けようか、と思っている方は、担当の医師とよく相談の上で治療を行うことをおすすめします。

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