下垂体性TSH分泌異常症で考える再生医療|標準治療と新たな選択肢

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下垂体性TSH分泌異常症とは

下垂体性TSH分泌異常症は、脳の下にある「下垂体」から出るTSHというホルモンの分泌に異常が起こる病気です。

TSHは「甲状腺刺激ホルモン」と呼ばれます。首にある甲状腺へ働きかけ、甲状腺ホルモンを作るように指示する役割があります。

下垂体性TSH分泌異常症では、下垂体にできた腫瘍によってTSHが必要以上に分泌されるケースが中心です。この腫瘍は「TSH産生下垂体腫瘍」と呼ばれます。

TSHが多く出ると、甲状腺ホルモンも増えやすくなります。その結果、動悸、汗をかきやすい、手が震える、体重が減る、疲れやすいといった症状が現れることがあります。甲状腺が腫れて、首のふくらみが目立つ人もいます。

また、下垂体の腫瘍が大きくなると、周囲を圧迫することがあります。頭痛が起こったり、目で見える範囲が狭くなったりすることもあります。

一方で、血液検査だけでは診断が難しいことがあります。甲状腺ホルモンが高いにもかかわらずTSHが十分に下がらないという特徴がありますが、似た検査結果を示す別の病気もあるためです。

つまり、下垂体性TSH分泌異常症では、甲状腺だけを見るのではなく、下垂体やホルモン全体の状態を確認することが大切です。

標準治療では腫瘍そのものへの対応が中心になる

下垂体性TSH分泌異常症の標準治療では、原因となっている下垂体腫瘍への治療が中心になります。

日本内分泌学会の診療指針では、下垂体TSH産生腫瘍に対して手術を第一選択として提案しています。一般的には、鼻の奥から下垂体へ入り、腫瘍を取り除く「経蝶形骨洞手術」が行われます。

腫瘍を十分に取り除くことができれば、TSHや甲状腺ホルモンの状態が改善することが期待できます。

ただし、腫瘍の位置や大きさによっては、完全に取り除くことが難しい場合があります。下垂体の周囲には、視神経や重要な血管があるためです。

手術だけでは十分に対応できない場合や、手術が難しい場合には、薬による治療が検討されます。

代表的なのが「ソマトスタチンアナログ」です。ソマトスタチンという体内のホルモンに似た働きをする薬で、TSHの分泌を抑える目的で使われます。症例によっては腫瘍の縮小がみられることもあります。

また、腫瘍の状態に応じて放射線治療が検討されることもあります。

このように、下垂体性TSH分泌異常症には複数の治療方法があります。一方で、腫瘍を完全に取り除けない場合や、治療後も長く経過を確認する必要がある場合があります。

さらに、甲状腺ホルモンの状態が安定しても、治療による体への負担や、再発への不安を抱える方もいます。

そのため、現在の治療を続けながら、「ほかに体を支える方法はないか」と情報を探す患者さんもいます。

骨髄由来MSCや培養上清液という選択肢をどう考えるか

当機構が再生医療の中で注目しているのが、間葉系幹細胞(MSC)、特に骨髄由来MSCです。

MSCは、骨髄や脂肪などに存在する細胞です。さまざまな細胞へ変化する性質だけでなく、周囲の細胞へ働きかける物質を放出することが知られています。

骨髄由来MSCからは、成長因子やサイトカインなど、細胞同士の情報のやり取りに関わる物質が分泌されます。炎症を整えたり、傷ついた組織を支える環境づくりに関わったりする働きが研究されています。

下垂体についても、幹細胞とホルモンを作る細胞との関係を調べる研究が進められています。下垂体には、ホルモンを作る細胞のもとになる細胞が存在すると考えられており、再生医療への応用を目指した研究も行われています。

ただし、下垂体性TSH分泌異常症では、腫瘍がTSHを過剰に分泌していることが問題になります。

そのため、骨髄由来MSCが腫瘍を小さくしたり、TSHの分泌を正常に戻したりする標準治療として使われているわけではありません。腫瘍への手術や薬による治療とは、役割を分けて考える必要があります。

一方、MSCを使った再生医療は、国内外ですでにさまざまな病気を対象として臨床で行われています。海外では、提供者から得た他家MSCを利用する治療も行われています。

国内では、骨髄由来MSCを培養した際に得られる「培養上清液」を使った医療も、自由診療として提供されています。

培養上清液とは、MSCそのものではなく、MSCが培養中に外へ出したさまざまな成分を含む液体です。

ただし、培養上清液を使った医療は、下垂体性TSH分泌異常症に対して国が承認した標準治療ではありません。

当機構では、現在必要な治療を置き換えるものとして考えるのではなく、病状や治療内容を確認したうえで、追加の選択肢として検討できるかを整理することが大切だと考えています。

下垂体性TSH分泌異常症についても、当機構には改善の報告が寄せられています。ただし、腫瘍の状態やホルモンの値、これまでの治療は一人ひとり異なるため、同じ変化がすべての方に起こるわけではありません。

腫瘍とホルモンの状態を確認しながら治療の選択肢を整理する

下垂体性TSH分泌異常症では、「TSHが高い」という検査結果だけで治療方法を決めることはできません。

まず確認したいのは、下垂体の腫瘍の状態です。

腫瘍はどのくらいの大きさなのか。視神経や周囲の血管に影響していないか。これまでに手術を受けているのか。薬によってTSHや甲状腺ホルモンがどの程度安定しているのか。

こうした情報によって、考えられる治療は変わります。

国際幹細胞普及機構では、患者さんの病状、血液検査やMRIなどの検査結果、現在使っている薬、これまでの治療、ご希望を整理します。

そのうえで、骨髄由来MSCや培養上清液を含め、実際に相談できる医療の選択肢について情報をお伝えすることを重視しています。

再生医療について知ることは、現在の標準治療を否定することではありません。

たとえば、手術後も経過観察が必要な方や、薬を使いながらホルモンの状態を管理している方でも、現在の治療を続けながら追加の選択肢について相談することができます。

一方で、視野が狭くなる、見えにくくなる、強い頭痛が続くなどの症状がある場合には、腫瘍による圧迫が関係している可能性があります。こうした場合には、腫瘍そのものへの治療が特に重要になります。

当機構では、再生医療だけを見るのではなく、現在必要な治療と組み合わせながら、その方に合った選択肢を整理することを大切にしています。

今すでに受けている治療がある方は、自己判断で中断せず、続けながらご相談ください。

下垂体性TSH分泌異常症の治療をご検討の方へ

下垂体性TSH分泌異常症は、ホルモンの異常だけでなく下垂体の腫瘍にも向き合う必要があり、患者さんやご家族が治療や再発について不安を感じやすい病気です。

「治療を続けているけれど、この先もホルモンの状態が安定するのか心配」

「今の治療以外にも相談できる選択肢があるのか知りたい」

「再生医療について情報を知りたい」

そういった方に対して、治療の選択肢や情報を整理することは非常に重要です。

当機構では、再生医療に関する情報提供および相談対応を行っております。
ご相談をご希望の方は、下記お問い合わせフォームよりご連絡ください。

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