ADH分泌異常症と再生医療|水分バランスを支える治療の選択肢

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ADH分泌異常症とは

ADH分泌異常症とは、体の水分量を調整するホルモン「ADH」が少なすぎたり、多すぎたりする病気です。

ADHは「抗利尿ホルモン」と呼ばれ、現在は「バソプレシン」という名前も使われています。脳の視床下部で作られ、下垂体の後ろ側から血液中へ放出されます。

ADHの役割は、腎臓に「水分を体内に残すように」と伝えることです。そのため、ADHが少なくなる場合と、多くなりすぎる場合では、起こる症状が大きく異なります。

ADHが不足する状態を「バソプレシン分泌低下症(中枢性尿崩症)」といいます。尿の量が増え、強いのどの渇きが起こります。大量の水を飲み、夜中に何度もトイレへ起きる人もいます。原因には、脳腫瘍、頭のけが、脳や下垂体の手術などがあり、原因がわからない場合もあります。

反対に、ADHが必要以上に分泌される状態を「バソプレシン分泌過剰症(SIADH)」といいます。こちらは水分を体にため込みすぎるため、血液中のナトリウムが薄くなります。

軽い場合には症状に気づかないこともありますが、ナトリウムが大きく低下すると、だるさや食欲低下、頭痛、吐き気などが現れます。さらに重くなると、意識の乱れやけいれんにつながることもあります。

つまり、ADH分泌異常症は「ホルモンの量がおかしい」というだけの病気ではありません。体の水分とナトリウムのバランスに直接関わるため、状態に合わせた継続的な治療が大切です。

ADHが少ないか多いかで、標準治療は大きく変わる

ADH分泌異常症の治療では、まずADHが足りないのか、それとも多すぎるのかを見分けます。

中枢性尿崩症では、足りないADHの働きを補うために「デスモプレシン」という薬を使います。飲み薬や点鼻薬があり、尿の量を減らして水分を体内に保つ働きを助けます。

デスモプレシンによって日常生活を送りやすくなる人は多くいます。一方で、一度発症すると長く薬を使う場合もあります。

また、薬が効いている間に必要以上の水分を取ると、今度は血液中のナトリウムが低下することがあります。そのため、薬の量だけでなく、飲む水の量にも気を配る必要があります。

SIADHでは考え方が反対です。体に水がたまりすぎているため、まず水分を取りすぎないように調整します。必要に応じて食塩を補うこともあります。

それでも低ナトリウム血症が改善しない場合には、ADHの働きを弱めて水分を尿として出しやすくする「トルバプタン」が検討されることがあります。トルバプタンは血液中のナトリウムを急激に変化させるおそれがあるため、開始時には入院して慎重に使う必要があります。

さらに、ADH分泌異常症では原因となる病気への対応も重要です。脳や下垂体の腫瘍、炎症、肺の病気、薬の影響などが関係している場合には、その治療や見直しが必要になります。

このように標準治療は確立されていますが、「薬を長く続けることへの負担がある」「水分管理が難しい」「原因となった脳や下垂体のダメージについても考えたい」と感じる方もいます。

そこで、現在の治療を続けながら、体を支える別の方法として再生医療について情報を集めるという考え方があります。

骨髄由来MSCや培養上清液から考える再生医療

当機構が再生医療の中で注目しているのが、間葉系幹細胞(MSC)、特に骨髄由来MSCです。

MSCは、骨髄や脂肪などに存在する細胞です。さまざまな細胞に変化する性質に加えて、周囲の細胞へ働きかける物質を放出することが知られています。

MSCからは、成長因子やサイトカインなど、細胞同士の情報のやり取りに関わる成分が分泌されます。こうした成分が、炎症を整えたり、傷ついた組織を支える環境づくりに関わったりすることが研究されています。

ADH分泌異常症の中でも、中枢性尿崩症では、ADHを作る視床下部や、ホルモンを放出する下垂体周辺が病気やけがによって傷ついている場合があります。そこで当機構では、ホルモンを補う治療だけでなく、神経や組織を取り巻く環境に目を向ける考え方も大切だと考えています。

ただし、骨髄由来MSCがADHそのものを補ったり、ADHの分泌を直接正常に戻したりする標準治療として承認されているわけではありません。

中枢性尿崩症については、患者さんから作ったiPS細胞を使い、ADHを作る神経細胞の仕組みを調べる研究も行われています。しかし、これは病気の仕組みを知るための研究であり、現在の標準治療に代わるものではありません。

一方、国内では、骨髄由来MSCを培養した際に得られる「培養上清液」を使った医療が、自由診療として行われています。

培養上清液とは、幹細胞そのものではなく、幹細胞が培養中に外へ出したさまざまな成分を含む液体です。

幹細胞培養上清液やエクソソームを使った医療は、ADH分泌異常症に対して国が承認した標準治療とは扱いが異なります。

当機構では、デスモプレシンなど現在必要な治療をやめて再生医療だけに切り替えるのではなく、今の状態を確認しながら、追加で相談できる方法があるかを考えることが大切だとしています。

水分量だけでなく、原因や検査結果まで見て選択肢を整理する

ADH分泌異常症は、病名だけを見て同じ治療を選べる病気ではありません。

中枢性尿崩症なのか、SIADHなのかによって、体の中ではほぼ反対のことが起きています。

中枢性尿崩症では、どのくらい尿が出ているのか、デスモプレシンをどの程度使っているのか、血液中のナトリウムは安定しているのかなどを確認します。

脳や下垂体の病気が原因であれば、MRIなどの画像検査も大切です。

SIADHでは、血液中のナトリウムや体の水分状態に加えて、脳や肺の病気、使っている薬など、ADHが増えている原因を確認する必要があります。

国際幹細胞普及機構では、患者さんの病名だけで再生医療の可否を判断するのではなく、現在の症状、検査結果、使っている薬、これまでの治療、ご希望などを整理します。

そのうえで、骨髄由来MSCや培養上清液を含め、実際に相談できる医療の選択肢について情報をお伝えすることを重視しています。

再生医療を検討することは、今受けている治療を否定することではありません。

特にADH分泌異常症では、水分やナトリウムのバランスが短期間で大きく変化することがあります。そのため、現在の治療を続けながら、追加の選択肢として何が考えられるのかを整理することが大切です。

治療方針や期待できる変化は、一人ひとりの原因や体の状態によって異なります。

今すでに受けている治療がある方は、自己判断で中断せず、続けながらご相談ください。

ADH分泌異常症の治療をご検討の方へ

ADH分泌異常症は、尿の量や水分の取り方を毎日気にする必要があることも多く、患者さんやご家族が今後の生活に不安を感じやすい病気です。

「薬を続けながら、この先も症状を管理できるのか不安」

「今の治療以外にも相談できる方法があるのか知りたい」

「再生医療について情報を知りたい」

そういった方に対して、治療の選択肢や情報を整理することは非常に重要です。

当機構では、再生医療に関する情報提供および相談対応を行っております。
ご相談をご希望の方は、下記お問い合わせフォームよりご連絡ください。

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