特発性間質性肺炎に対する幹細胞治療|骨髄由来MSCという新たな選択肢

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特発性間質性肺炎とは

特発性間質性肺炎は、原因を特定できないまま肺の間質に炎症や線維化が起こる病気の総称です。間質とは、肺胞と呼ばれる小さな空気の袋を支える組織を指します。

間質の線維化が進むと肺が硬くなり、息を吸っても十分に広がりにくくなります。肺胞から血液へ酸素を取り込む働きも低下するため、身体を動かしたときの息切れや、痰を伴わない乾いた咳などが現れます。

特発性間質性肺炎には複数の病型があり、国内では特発性肺線維症(IPF)が最も多いとされています。ほかにも特発性非特異性間質性肺炎や特発性器質化肺炎などがあり、病型によって進行の速さや治療への反応が異なります。

初期には症状が目立たず、階段や坂道で息切れを感じる程度のこともあります。しかし、進行すると平地の歩行や着替え、入浴などでも息苦しさを感じるようになり、酸素療法が必要になる場合があります。

また、慢性的に経過していた状態から、数日から約1カ月の間に呼吸状態が急激に悪化する「急性増悪」が起こることもあります。急性増悪は重篤になる可能性があるため、息苦しさの急な悪化や発熱、咳の増加がみられた場合は、速やかな受診が必要です。

特発性間質性肺炎は一つの病気ではありません。正確な病型を判断するには、胸部CT、呼吸機能検査、血液検査などを行い、必要に応じて呼吸器内科、放射線科、病理診断科などが連携して診断します。

治療の選択肢を考える際にも、病名だけで判断するのではなく、病型、肺機能、画像所見、病気の進行速度、年齢、合併症などを総合的に確認することが重要です。

現在の標準治療と、進行を止めきれない現実

特発性間質性肺炎の治療は、病型によって異なります。炎症の影響が強い病型では、副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬が検討されます。一方、特発性肺線維症では、ピルフェニドンやニンテダニブといった抗線維化薬が標準的な選択肢です。

抗線維化薬は、肺機能が低下する速度を緩やかにする目的で使用されます。ただし、すでに線維化した肺を元の状態へ戻す薬ではありません。治療を続けていても、肺機能の低下や息切れが徐々に進む患者もいます。日本呼吸器学会の手引きでも、病型と進行度に応じた治療選択や継続的な評価が重視されています。

薬による治療では、下痢、食欲低下、吐き気、肝機能障害、光線過敏症などが生じる場合があります。副作用によって十分な量を継続できない患者や、ほかの病気との兼ね合いから使用できる薬が限られる患者もいます。

病気が進行して血液中の酸素が不足する場合には、在宅酸素療法が行われます。呼吸リハビリテーション、栄養管理、感染症予防、禁煙なども重要です。条件を満たす場合には肺移植が検討されますが、年齢や全身状態、ドナーの確保などによる制約があります。

特発性間質性肺炎は指定難病であり、一定の要件を満たす場合には医療費助成の対象になります。治療が長期にわたりやすいため、医療費や通院負担についても主治医や医療ソーシャルワーカーへ相談することが大切です。

標準治療には、進行を抑え、症状を軽減する重要な役割があります。しかし、「治療を続けているのに息切れが強くなっている」「薬を十分に使えない」「ほかに検討できる方法はないのか」と悩む患者や家族も少なくありません。

そこで研究されているのが、炎症や線維化が続く肺の環境そのものへ働きかける、新しい再生医療のアプローチです。

骨髄由来MSCと培養上清液から肺の環境を考える

間葉系幹細胞(MSC)は、骨髄、脂肪組織、臍帯などに存在する細胞です。さまざまな細胞へ分化する能力に加え、炎症や免疫反応を調整する物質を分泌する性質が研究されています。

特発性間質性肺炎に対するMSC研究で注目されているのは、MSCが肺の細胞へ置き換わることだけではありません。MSCから分泌される成長因子、サイトカイン、細胞外小胞などが、炎症反応や線維化に関わる細胞へ影響する可能性です。

動物を用いた肺線維症研究では、MSCの投与によって炎症や線維化に関連する変化が抑えられたとの報告があります。ただし、動物実験の結果を、そのまま人の特発性間質性肺炎に当てはめることはできません。

人を対象としたMSC研究も行われていますが、これまでの研究は参加者数が少なく、投与する細胞の由来、量、回数、投与経路なども統一されていません。現段階では、特発性肺線維症に対するMSC治療の有効性が確立したとはいえず、標準治療に代わる治療として承認されているわけでもありません。

それでも当機構では、MSCが持つ免疫調整作用や抗炎症作用、組織修復環境への作用に着目しています。なかでも骨髄由来MSCは、長年にわたり研究されてきた実績があり、免疫系疾患や線維化を伴う疾患に対する可能性を検討するうえで重要な細胞だと考えています。

骨髄由来MSCの培養上清液は、MSCを培養した際に得られる液体成分です。MSCそのものは含まず、細胞が分泌した成長因子、サイトカイン、細胞外小胞などを含む可能性があります。

国内には、培養上清液を自由診療として提供している医療機関があります。ただし、培養上清液を用いる医療は、特発性間質性肺炎の標準治療として国が承認したものではありません。製造方法や品質管理、含まれる成分は一律ではなく、医療機関ごとに異なる可能性があります。

厚生労働省は、幹細胞培養上清液やエクソソーム等を用いる医療について、品質、安全性、医師による説明や健康被害への対応体制などを十分に確認するよう注意を促しています。細胞を使わない培養上清液は、原則として再生医療等安全性確保法の対象外であるため、「提供されていること」と「有効性や安全性が国によって承認されていること」は分けて考えなければなりません。

当機構は、標準治療を中断して培養上清液だけに切り替えることを勧める立場ではありません。現在の治療を継続しながら、病状や検査結果を踏まえ、追加の選択肢として検討できるかを慎重に判断することが重要だと考えています。

治験を待つだけではなく、実際の治療選択を整理する

再生医療について調べると、基礎研究や臨床試験の情報は見つかっても、「自分は今、何を相談できるのか」が分かりにくいことがあります。

海外では、MSCを用いた治療や臨床研究が肺線維症を含むさまざまな疾患を対象に実施されています。ただし、国や医療機関によって制度、細胞の品質、治療内容、安全管理の基準が異なります。海外で提供されているという理由だけで、有効性や安全性が保証されるわけではありません。

国際幹細胞普及機構は、治験参加者を募集する機関ではありません。治験の紹介だけで終わるのではなく、現在受けられる標準治療を整理したうえで、再生医療を含む実際の選択肢について相談できる体制を重視しています。

特発性間質性肺炎と診断されていても、全員が同じ治療の対象になるわけではありません。特発性肺線維症なのか、別の病型なのか、現在の肺機能はどの程度か、急性増悪の可能性はないかなどを確認する必要があります。

再生医療を検討するときには、少なくとも治療に使用する細胞や培養上清液の由来、製造・保管方法、品質検査、投与方法、想定されるリスク、費用、健康被害が生じた場合の対応について説明を受けることが大切です。

また、呼吸状態が不安定な患者では、点滴などの処置そのものが負担になる可能性もあります。特に息苦しさが急に強くなっている場合や、発熱、酸素飽和度の低下がある場合には、再生医療の相談より先に主治医や救急医療機関へ連絡してください。

治療方針や期待できる変化は、病型、進行度、年齢、体力、併用薬などによって異なります。当機構へ相談する際にも、主治医の診断や治療方針を尊重し、可能であれば検査結果や使用中の薬が分かる資料を準備してください。

当機構では、骨髄由来MSCやその培養上清液を含む再生医療について、現在の病状に照らして何を確認すべきか、どのような点に注意して医療機関を選ぶべきかを整理します。主治医にもご相談いただきながら、標準治療と再生医療を対立させずに検討することが重要です。

特発性間質性肺炎の治療をご検討の方へ

特発性間質性肺炎は、息切れや咳だけでなく、今後どこまで進行するのか分からない不安を患者と家族にもたらす病気です。

「治療を続けているものの、肺機能の低下が不安」

「現在の治療以外に検討できる選択肢があるのか知りたい」

「再生医療について情報を知りたい」

そういった方に対して、治療の選択肢や情報を整理することは非常に重要です。

再生医療は、特発性間質性肺炎に対する効果が確立した標準治療ではありません。治療方針や効果は個々の状態により異なるため、現在の治療を自己判断で中断せず、主治医にもご相談ください。

当機構では、再生医療に関する情報提供および相談対応を行っております。
ご相談をご希望の方は、下記お問い合わせフォームよりご連絡ください。

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