「パーキンソン病は進行性の病気で、現代医学では完治しません」
病院でそう告げられ、先の見えない不安を感じている患者様やご家族は少なくありません。
確かに、現在保険適用されている標準治療は「症状を抑える」ことには優れていますが、「病気の進行そのものを止める」ことはできません。
しかし今、世界中で「神経を守って進行を食い止める」「弱った神経を再活性化する」という、これまでの薬とは全く異なるアプローチである「間葉系幹細胞(MSC)」を用いた治療の研究が進んでいます。
本記事では、パーキンソン病治療の現在地と、現実的な新たな選択肢としての幹細胞治療の可能性について、専門的な知見をわかりやすく解説します。
パーキンソン病で、脳内では何が起きているのか?
パーキンソン病は、脳の中脳(ちゅうのう)という場所にある「ドーパミンを作る神経細胞」が、何らかの原因で壊れて減ってしまう病気です。

ドーパミンは、脳からの指令を筋肉に伝え、スムーズに体を動かすための「潤滑油」のような役割をしています。
この潤滑油が枯渇してしまうことで、以下のような症状が現れます。
- 手足が震える(振戦)
- 筋肉がこわばる(固縮)
- 動作が遅くなる、歩き出しにくい(無動・寡動)
また、体の動きだけでなく、便秘や嗅覚の低下、気分の落ち込み(うつ)といった症状が、運動障害よりも数年前から現れることもわかっています。
「薬」と「手術」…標準治療の限界
現在、病院で行われている標準治療(保険診療)の主役は、「足りなくなったドーパミンを薬で補うこと」です。
L-ドパ(レボドパ)療法の功罪
「L-ドパ」という薬は非常に強力で、服用すると脳内でドーパミンに変わり、劇的に動きが良くなります。魔法の薬のように感じる患者様も多いでしょう。
しかし、これはあくまで「外から燃料を足している」だけであり、「エンジン(神経細胞)の故障」を治しているわけではありません。
そのため、病気が進行して神経細胞がさらに減ると、薬の効き目が不安定になります。
- ウェアリング・オフ現象:薬の効果時間が短くなり、急に動けなくなる。
- ジスキネジア:薬が効きすぎて、自分の意思とは関係なく体が勝手に動いてしまう。
進行期には「脳深部刺激療法(DBS)」という手術が行われることもありますが、これも電気刺激で症状をコントロールするものであり、病気の進行そのものを止める治療ではありません。
「進行を止めたい」そのための間葉系幹細胞(MSC)
「症状を抑えるだけでなく、神経が壊れるのを止めたい」「今の機能をなんとか維持したい」
この願いに応えるために最も期待されているのが、「間葉系幹細胞(MSC)」を用いた治療です。
なぜ「間葉系幹細胞」なのか?
間葉系幹細胞は、脂肪や骨髄などに含まれる細胞で、他人の細胞であっても拒絶反応が起きにくいという特徴があります。
この細胞が持つ以下の働きが、パーキンソン病の進行抑制に寄与すると考えられています。
- 神経保護作用(パラクライン効果)幹細胞は、サイトカインや成長因子といった「修復のためのメッセージ物質」を大量に分泌します。これが弱ったドーパミン神経に栄養を与え、死滅を防ぐ助けとなります。
- 抗炎症作用パーキンソン病の脳内では、慢性的な炎症が起きており、それが神経細胞死を加速させています。間葉系幹細胞には強力な抗炎症作用があり、脳内の「火事」を鎮火することで、進行を食い止めることが期待されます。
つまり、減ってしまった神経を薬で無理やり動かすのではなく、「残っている神経細胞を守り、元気にさせる」ことで、病気の進行を遅らせ、QOL(生活の質)の維持を目指すのが、この治療の目的です。
「研究段階」だからこそ、知っておくべきこと
これらの幹細胞治療は、理論上、パーキンソン病にとって非常に希望のあるアプローチです。
現時点ではまだ「誰にでも効く標準治療」として国に認められたわけではありません(保険適用外)。
しかし、「既存の薬ではどうにもならない進行に対する、新たな対抗策」として、海外や一部の国内医療機関で、自費診療として治療が提供され始めています。
特に、自分の細胞を使うのではなく、若くて活性度の高いドナー(提供者)の細胞を使う「他家培養幹細胞」や、その培養液から不純物を取り除いた「培養上清液」を利用することで、高齢の患者様でも質の高い治療を受けられる可能性が広がっています。
パーキンソン病治療をご検討の方へ
「薬の量が増えるばかりで不安だ」「まだ動けるうちに、できることは全てやりたい」
そうお考えの方にとって、標準治療以外の選択肢(間葉系幹細胞治療・培養上清液治療)を知ることは、未来を変える一歩になるかもしれません。
当機構では、国内外の最新の知見をもとに、科学的根拠に基づいたアドバイスを行っております。
現在、パーキンソン病の診断を受け、再生医療の活用を検討されたい方は、こちらのフォームからご相談ください。
お問い合わせに関するご注意
「治験の紹介をしてほしい」というご相談をよくいただくのですが、残念ながら当機構ではご案内できません。
特にiPS細胞などを用いた国内の治験は、対象となる条件や人数が極めて限定されており、希望しても参加できないのが現実です。
また、パーキンソン病は進行性の病気であり、「数年後の承認を待っている余裕はない」という切実な声も多くいただきます。
そのため当機構では、治験ではなく、すでに実際の治療として提供可能な医療機関(国内の培養上清液治療や、海外での他家幹細胞治療など)の情報を整理し、現実的な治療につなげるサポートを行っております。
ご相談フォームへの記載について
ひやかしの質問や相談だと思われるものにつきましては、一切お返事しておりませんが、実際に悩みを抱えていらっしゃる方の真剣なご相談につきましては、すべて何らかの回答をさせていただいております。
現在は他家幹細胞を使った治療は海外でしか受けられませんし、培養上清液を使った治療は国内で受けられるとは言っても保険が適用されないため「自費診療」になってしまいますが、それも含めて検討される場合は、遠慮なくご相談いただければと思います。
当機構の代表や関係ドクターの見解、また当機構でお力になれる内容について適切にお伝えするため、ご相談の際は以下の情報をできるだけ詳しくご記載ください。
- 年齢、性別、居住地
- 発症時期と現在のヤール重症度(I〜V度)
- 主な症状(震えが強い、すくみ足があるなど)
- 現在服用しているお薬の内容
- 脳深部刺激療法(DBS)の有無
参考文献
- Parkinson’s disease.The Lancet. 2015


