ゴナドトロピン分泌異常症とは
ゴナドトロピン分泌異常症とは、性ホルモンを調整する「ゴナドトロピン」の分泌が多すぎたり、少なすぎたりする状態です。
ゴナドトロピンには、LH(黄体形成ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)があります。どちらも脳の下にある「下垂体」という小さな器官から分泌されます。
LHとFSHは、女性では卵巣、男性では精巣に働きかけます。女性ホルモンや男性ホルモンの分泌、排卵、精子をつくる働きなどを支える重要なホルモンです。
つまり、ゴナドトロピンの分泌が乱れると、思春期の進み方や月経、妊娠、男性の性機能などに影響することがあります。
ゴナドトロピンが多すぎる病気の代表が「下垂体性ゴナドトロピン分泌亢進症」です。国内では指定難病の一つです。中枢性思春期早発症と、下垂体ゴナドトロピン産生腫瘍などが含まれます。
中枢性思春期早発症では、通常よりかなり早い時期から体が大人へ変化し始めます。女児では乳房の発育や月経、男児では精巣や陰茎の発育、声変わりなどが早く現れることがあります。身長が急に伸びる一方で、骨の成熟も早く進みます。
成人では、下垂体にゴナドトロピンをつくる腫瘍ができることがあります。月経異常や卵巣の腫れ、男性の女性化乳房などがみられるほか、腫瘍が大きくなると頭痛や視野の異常が起こる場合もあります。
反対に、ゴナドトロピンが十分に分泌されない場合には、思春期が始まらない、月経が来ない、性欲が低下する、不妊につながるといった症状がみられます。
このように、同じ「ゴナドトロピンの異常」でも、分泌が多いのか少ないのか、原因がどこにあるのかによって治療は大きく変わります。
原因に合わせてホルモンを整えることが標準治療の基本
ゴナドトロピン分泌異常症では、まず原因を正しく見つけることが大切です。
中枢性思春期早発症では、LHやFSHの分泌を抑える薬が使われます。一般的には「LH-RHアナログ」と呼ばれる薬を定期的に注射し、早く進みすぎている思春期をゆっくりにします。
治療によって、性成熟の進行を抑えるだけでなく、骨が早く成熟しすぎることを防ぎ、成人したときの身長への影響を減らすことも目指します。子ども本人や家族が感じる心理的な負担を軽くする意味もあります。
脳や下垂体に腫瘍などの原因がある場合には、その原因に対する治療が必要です。
特に、下垂体ゴナドトロピン産生腫瘍では、手術で腫瘍を取り除くことが基本的な治療になります。腫瘍が大きく、視神経を圧迫している場合には、視力や視野を守ることも重要です。
一方、ゴナドトロピンの分泌が少ない場合には、目的によって治療が変わります。
男性では、男性ホルモンが不足している場合にテストステロンを補う治療が行われます。ただし、妊娠を希望する場合には、精子をつくる働きを促すためにゴナドトロピンを使う治療が検討されます。
女性でも、月経や排卵、妊娠を希望するかどうかによって、女性ホルモンを補う治療や排卵を促す治療が選ばれます。
標準治療によってホルモンの状態を整えられる人は少なくありません。一方で、長く治療を続ける必要がある人や、原因となる下垂体の病気そのものへの対応が必要な人もいます。
また、ホルモンの数値が整っても、体調や生活上の悩みがすべて同じように改善するとは限りません。
そのため、「今の治療以外にどのような方法があるのか」「体全体の状態を整える方法も知りたい」と考える方もいます。
骨髄由来MSCや培養上清液という再生医療の選択肢
当機構では、再生医療の中でも間葉系幹細胞(MSC)、特に骨髄由来MSCに注目しています。
MSCとは、骨髄や脂肪などにある細胞です。さまざまな細胞へ変化する力だけでなく、周囲の細胞へ働きかける物質を放出することが知られています。
MSCからは、成長因子やサイトカインと呼ばれる物質などが分泌されます。これらは、炎症を整えたり、傷ついた組織を支える環境づくりに関わったりすると考えられています。
ただし、ゴナドトロピン分泌異常症の原因はさまざまです。
たとえば、下垂体に腫瘍がある場合、MSCが腫瘍を小さくする標準治療として使われているわけではありません。中枢性思春期早発症についても、MSCがLHやFSHを直接正常化する治療として承認されているわけではありません。
そのため当機構では、ゴナドトロピン分泌異常症に対する再生医療を、現在のホルモン治療や手術の代わりとして一律に考えるのではなく、その方の状態に合わせて検討することが重要だと考えています。
国内では、骨髄由来MSCを培養したときに得られる「培養上清液」を使った医療が自由診療として行われています。
培養上清液とは、MSCそのものではなく、MSCが培養中に外へ出したさまざまな成分を含む液体です。
一方で、幹細胞培養上清液を使った医療は、ゴナドトロピン分泌異常症に対して国が承認した標準治療とは扱いが異なります。
海外では他家MSC、つまり本人以外の提供者から得られたMSCを使った治療が、さまざまな病気を対象に実際の医療や臨床の場で用いられています。ただし、ゴナドトロピン分泌異常症に対する承認治療という意味ではありません。
大切なのは、「幹細胞を使えばホルモン異常が治る」と考えることではありません。
現在のホルモン値や原因、下垂体の状態、これまでの治療を確認したうえで、再生医療を追加の選択肢として検討できるかを整理することが重要です。
検査結果や現在の治療から、相談できる選択肢を整理する
国際幹細胞普及機構では、病名だけを見て治療方法を決めることはありません。
ゴナドトロピン分泌異常症の場合も、まず「どのような異常が起きているのか」を確認することが大切です。
LHやFSHが多すぎるのか、少なすぎるのか。女性ホルモンや男性ホルモンはどのような状態なのか。下垂体に腫瘍があるのか。思春期や月経、不妊など、どの症状に困っているのか。
こうした違いによって、必要な医療は変わります。
当機構では、血液検査やMRIなどの検査結果、現在使っている薬、これまでの治療、ご本人やご家族の希望などを整理します。
そのうえで、現在受けている標準治療を踏まえながら、骨髄由来MSCや培養上清液を含む再生医療について、実際に相談できる選択肢へおつなぎすることを重視しています。
再生医療を検討するからといって、今までの治療をすぐにやめる必要はありません。
特に、下垂体の腫瘍がある方では、腫瘍の大きさや視神経への影響を継続して確認することが大切です。頭痛が強くなった、見える範囲が狭くなった、視力が落ちたといった変化がある場合には、早めの確認が必要です。
また、妊娠を希望している場合には、治療の選び方が大きく変わることがあります。
治療方針や期待できる変化は、一人ひとりの状態によって異なります。現在治療を受けている方は、主治医にもご相談いただきながら検討してください。
ゴナドトロピン分泌異常症の治療をご検討の方へ
ゴナドトロピン分泌異常症は、思春期や月経、妊娠、性機能など人生のさまざまな場面に関わるため、患者さんやご家族が先のことを不安に感じやすい病気です。
「ホルモンの治療を続けているけれど、この先どうなるのか不安」
「今の治療以外にも相談できる方法があるのか知りたい」
「再生医療について情報を知りたい」
そういった方に対して、治療の選択肢や情報を整理することは非常に重要です。
当機構では、再生医療に関する情報提供および相談対応を行っております。
ご相談をご希望の方は、下記お問い合わせフォームよりご連絡ください。


