健康増進クリニック「水上治」院長にお話しを伺いました。健康増進クリニックは千代田区にあるがん・難病・健康促進など、あらゆる相談や治療に対応しているクリニックです。
動画で見たい方は、以下の動画をクリックしてください。
施設名 | 健康増進クリニック |
院長 | 水上治 |
医療科目 | 内科 (がん・難病) |
電話番号 | 03-3237-1777 |
所在地 | 〒102-0074 東京都千代田区九段南4丁目8−21 山脇ビル 5F |
地図 |
水上治先生の医療に関する哲学は?
病院での勤務医、また開業医として、半世紀ほど内科の患者さんを診てきました。
その中で、医療に関する基本的な哲学は何かと聞かれると、我々医者は目の前で困っている患者ひとりひとりにあらゆる形で寄り添うしかない、と答えざるを得ません。
重い病気の人に、あっという間に治っていただくというのは難しいことです。
しかし、全身全霊でその一人の患者に心寄り添うことはできます。
だからこそ、我々医者に相談していただき、少しでもほっとして、安心して、少しでも幸せになってくれたら、私たち医者の意義が少しは満たされると思って努めてきました。
主に診療してきた患者とこのクリニックでの対応は?
約9割の方が進行がんで、残りの1割がそのほかの難病の方です。
ほとんどの方が、このクリニックに来るまでに、さまざまな病院で西洋医学的な高度な医療を体験されています。
それでも、もう一息うまくいかないといったような方が、ここに相談にくるわけです。
私自身、西洋医学の医者なので西洋医学は尊重していますが、どんな医学・医療にも弱点があり、完ぺきではありません。
新しい治療というのは、効果があるというエビデンスが上がり、政府が承認するまで積極的に進めることができないものです。
そして、現状の標準医療では、その弱点は残さざるを得ない医療の隙間であるとしているのです。
しかし、私はそうは思いません。
世界中のあらゆるドクターがその隙間を埋めるべく、日々努力を重ねています。
その医療の隙間を開けたままにしておくか、新たな医療に挑戦するかを患者さんと十分に話し合ったうえで、患者さんが望めば、新しい医療に挑戦していくというスタンスでやってきました。
もちろん、結果はさまざまで限界もありますが、患者さんとともに挑戦するプロセス自体が重要であると考えて、心がけてきました。
再生医療に対するビジョンは?
今まで、日本で可能なあらゆる治療の可能性を探り、試みてきました。
しかし、実際にはもう一息のところで効果が不十分であるという経験が多くありました。
その半世紀近い医師としての苦闘の歴史の中で、この10~15年程前に遭遇したのが再生医療です。
iPS細胞をはじめとする、いわゆる万能細胞やその刺激物質を体内に入れることで、欠損していた細胞を再生できる可能性があるというものですね。
医師として多大な興味を持ちましたが、残念ながら我々一般臨床医の手近にはありませんでした。
ところが最近では、その再生医療に気軽にアクセスができるようになりました。
再生医療は、今の私にとって最大の関心事であるといえます。
私の洞察・直観に加えて、今までの臨床体験・知識を総合的に考えてみると、本当に優れた万能細胞が体内で活躍すれば、ほとんどあらゆる病気がよい方向へ行くのではないかと期待しているところです。
それほど大きなパワーが、再生医療には秘められているわけです。
そのため、より手近に、気軽に私たちが実行できたらいいなと願っています。
再生医療の今後の課題は?
我々医者の原点は困っている患者のために最大限努力をすることです。それが医療の発展につながります。
しかし、例えば法律というものは、かなり前に制定されたものであるため、現状に則さない部分がしばしばあります。
もちろん我々は、遵法精神で試みますが、もしも現状に比べて古い部分があれば、それは改正していくべきだと私は思います。
法律があって患者さんがいるということではなく、困っている患者さんがいて、そのために法律があるわけです。
ですから、患者さんが困るような法律の規制があるとすれば、撤廃する方向も十分に検討されるべきでしょう。
再生医療業界に期待することは?
「ある病気がこの治療法で治癒に至った」ということを証明するのは、非常に難しいことです。
さまざまな交絡因子があり、関係のない因子が混ざりこむことがあるので、エビデンスをとることが難しいわけです。
したがって、まずはたくさんの方々によい体験をしていただき、症例の重なりを作っていくことが重要となります。
それを統計処理していくのは、あとの話です。
私にとっては、目の前のひとりひとりの患者さんの役に立っていくことが原点です。
それを見て、仲間のドクターが自分たちもやってみようと続く動きが出てくれば、エビデンスはあっという間に集まってくるでしょう。
まずは困っている患者さんに寄り添い、あとに続く仲間の医師を増やしていくわけです。
そうすることで、統計の処理やエビデンスレベルを高めることが期待できます。