「この病気は治らないのでしょうか?」
全身性強皮症(システミック・スケローダーマ)と診断されたとき、多くの患者様が最初に抱くのがこの不安です。
皮膚が硬くなる、指が曲がりにくくなる、レイノー現象、息切れ、逆流性食道炎、腎臓や心臓の合併症など、全身に様々な症状が出る可能性がある病気であり、将来に対する不安を抱える方も少なくありません。
現在、全身性強皮症の治療は、免疫抑制剤、ステロイド、血管拡張薬、肺高血圧症の治療薬、胃薬など、症状や合併症に応じた治療が中心となっています。
しかし、これらの治療は病気の進行を抑えたり、症状をコントロールすることを目的とした治療であり、病気そのものを完全に治す治療ではありません。
近年、自己免疫疾患や炎症性疾患の分野において、幹細胞を用いた再生医療の研究が進められており、全身性強皮症に対しても研究が行われています。
本記事では、全身性強皮症の病気の仕組み、現在の標準治療、そして再生医療や幹細胞、幹細胞培養上清液の研究や可能性について解説します。
全身性強皮症とはどのような病気か?
全身性強皮症は、自己免疫疾患の一つであり、免疫の異常によって血管や皮膚、内臓などに炎症や線維化(硬くなる変化)が起こる病気です。
自己免疫疾患とは、本来は体を守るはずの免疫が、自分自身の体の組織を攻撃してしまう病気のことをいいます。
全身性強皮症では、特に以下の3つの異常が重要とされています。
・血管障害
・免疫異常
・線維化(コラーゲンの過剰産生)
これらが組み合わさることで、皮膚が硬くなったり、血流が悪くなったり、肺や消化管、心臓、腎臓などの臓器に障害が出ることがあります。
代表的な症状としては、レイノー現象(寒いと指が白や紫になる)、皮膚の硬化、指の潰瘍、関節の動かしにくさ、息切れ、逆流性食道炎などがあります。
現在の標準治療と治療の考え方
全身性強皮症の治療は、病気を完全に治す治療というよりも、病気の進行を抑え、臓器障害を防ぎ、症状をコントロールすることが目的になります。
免疫異常を抑える治療
免疫抑制剤(シクロホスファミド、ミコフェノール酸モフェチルなど)やステロイドなどが使用されることがあります。
これらは免疫の過剰な反応を抑え、炎症を抑えることで病気の進行を抑えることを目的としています。
血流障害に対する治療
レイノー現象や指潰瘍、肺高血圧症などに対して、血管拡張薬や肺高血圧症治療薬が使用されます。
全身性強皮症では血管の障害が非常に重要な問題になるため、血流を改善する治療が行われます。
臓器障害に対する治療
肺線維症、肺高血圧症、逆流性食道炎、腎障害、心臓障害など、それぞれの臓器障害に対して専門的な治療が行われます。
このように、全身性強皮症の治療は症状や合併症ごとに治療を行う必要があり、長期的な治療と管理が必要になる病気です。
再生医療・幹細胞という新しい治療研究
近年、自己免疫疾患や炎症性疾患、線維化疾患の分野において、間葉系幹細胞(MSC)を用いた再生医療の研究が進められています。
間葉系幹細胞は、骨髄、脂肪、臍帯などに存在する細胞で、様々な細胞に分化する能力だけでなく、免疫を調整する作用や炎症を抑える作用、組織修復を助ける作用などがあると研究されています。
特に自己免疫疾患では、免疫の異常が病気の原因となるため、免疫調整作用を持つ細胞として研究が行われています。
幹細胞培養上清液とは何か
幹細胞培養上清液とは、幹細胞を培養した際に細胞が分泌した成長因子やサイトカインなどの成分を含む液体のことです。
幹細胞そのものを投与するのではなく、幹細胞が分泌する成分のみを利用する方法として研究されています。
これらの成分には、抗炎症作用、免疫調整作用、血管新生作用、組織修復作用などがあると報告されています。
なぜ幹細胞や幹細胞上清液が全身性強皮症で研究されているのか
全身性強皮症では、免疫異常、血管障害、線維化が病気の中心となります。
間葉系幹細胞は、免疫調整作用、抗炎症作用、血管新生作用、線維化抑制作用などが研究されており、これらの作用が全身性強皮症の病態に関連する可能性があるため研究が行われています。
ただし、重要な点として、幹細胞治療や幹細胞上清液治療は全身性強皮症を完全に治す治療として確立されているわけではありません。
研究段階の治療であるという重要な点
全身性強皮症に対する幹細胞治療や幹細胞上清液治療は、現時点では標準治療として確立された治療ではありません。
日本では保険適用の治療ではなく、研究や自由診療として行われている医療になります。
治療を検討する場合には、標準治療ではないこと、研究段階の治療であること、効果やリスクについて十分に説明を受けることが重要です。
全身性強皮症の治療をご検討の方へ
全身性強皮症は長期的な治療と管理が必要な病気であり、将来に不安を感じている患者様も多い病気です。
「今後の治療について情報を知りたい」
「再生医療について知りたい」
「治療の選択肢について相談したい」
そういった方に対して、治療の選択肢や情報を整理することは非常に重要です。
当機構では、再生医療に関する情報提供および相談対応を行っております。
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