ヒト幹細胞と植物性幹細胞
幹細胞コスメの中には、植物由来のものもあります。植物由来のものは、抗酸化作用やうるおいを与える効果があると言われています。
しかし、普通に考えてもわかるとおり、植物とヒトとでは細胞の仕組みがまったく違います。
ヒト幹細胞培養液の成分と仕組み
ヒト幹細胞培養液の場合は、ヒトの細胞そのものに働きかけることができる成長因子、増殖因子やサイトカインが豊富に含まれています。
以下では、その中でも特に重要な「サイトカイン」について詳しく見ていきましょう。
サイトカインとは?
幹細胞を知るうえで重要なのが、サイトカインです。
増殖因子(グロスファクター)と似たような働きがありますが、増殖因子は文字通り増殖を促進するという「情報伝達」の仕事をします。
それに対してサイトカインは「増殖」ということに限らず、さまざまな「情報伝達」をします。
前章でも記しましたが、細胞のレセプター(受容体)に結合することで、細胞同士の情報伝達が行われます。それによって以下の作用を促進させることができるのです。
- 免疫反応の増強や制御
- 細胞増殖
- 分化の調節
サイトカインの役割
サイトカインは、その役割分担によって名前があります。
例えば、次のようなものです。
- 「インターロイキン」:免疫系細胞の分化、増殖等に働く
- 「ケモカイン」:炎症部位が白血球に SOS を出す「走化作用を持つ
- 「インターフェロン」:NK細胞(ウイルスやがん細胞を攻撃するリンパ球)、マクロファージ(体内に侵入した細菌や異物を食べる)を活性化させて、ウイルス感染の制御や抗腫瘍免疫に重要な役割を果たす
- 「造血因子」:血球の分化、増殖を促進する
- 「細胞増殖因子」:血球以外の特定の細胞の増殖を促進する
- 「細胞壊死因子」:主に細胞死(アポトーシス)を誘導して不要な細胞を排除する
サイトカインの役割は「情報伝達」と一言で括っても、上記のように多くの仕事を行っているのです。
レセプター(受容体)とは?
レセプターとは細胞外からやってくるシグナル(情報伝達物質、ホルモンなど)を受容するタンパク質で、細胞に存在します。
レセプター=カギ穴であり、それに対してシグナル(情報伝達物質・ホルモンなど)をカギ=リガンドと言います。
では、レセプターとリガンドの関係を「甘み」を例に考えてみましょう。
舌の表面のデコボコした部分を乳頭突起と言いますが、味覚のレセプターを持つ味蕾(みらい)組織があります。
砂糖を舐めると、味蕾細胞のレセプターが「甘い」という刺激をシグナルとして受容します。
次に味蕾細胞内の G タンパク質というものがこれを受け、「シグナル・甘い」を電気信号に変換します。
電気信号化された「シグナル・甘い」は神経を通り抜けて脳に伝わります。すると脳が「おいしい」とか「甘いのは嫌い」などと判断します。
このようにレセプターとリガンドは、私たちの身体のさまざまな組織で、休まず働いています。
なぜ植物性幹細胞ではダメか? ヒト幹細胞との違い
レセプターにリガンドとなる物質が結びついて、活性が始まります。したがって、最初に述べたようにカギ穴に当てはまるカギがないとエンジンは掛かりません。
しかしながら植物の細胞にはレセプターとリガンドの仕組みがないのです。
レセプターとリガンドの仕組みは動物特有の情報伝達手段であり、繰り返しになりますが植物の細胞と人の細胞では、仕組みがまったく異なります。
よって植物由来の幹細胞は、人の細胞のカギ穴(レセプター)にピッタリ合うカギ(リガンド)を持っていませんので効果が望めないということになります。
対して、ヒト幹細胞やヒト由来幹細胞培養液には、細胞のカギ穴(レセプター)に一致するカギ(リガンド)となる増殖因子やサイトカインそのものが豊富に含まれています。
このため、組織再生効果があるとされ、再生美容の分野や化粧品の有用成分としての可能性が今後大いに期待されています。
植物性幹細胞にも、抗酸化作用やうるおいを与える効果はありますが、レセプターとリガンドの仕組みを持ったヒト幹細胞と同じように機能することはできません。
この違いを理解しておくことが、幹細胞美容を学ぶうえで基礎的であり、重要な部分になりますので、しっかり押さえておきましょう。
当機構の役割とは?
当機構は、『様々な病気やケガ、体の悩みなどを抱えているにも関わらず、これまでの医療では解決できなくて苦しんでいる』という方々に、幹細胞の力によってその問題を解消するだけでなく、より豊かな人生を歩んでほしいという願いを持っております。
幹細胞は人類の未来への大きな希望ですので、今後一人でも多くの人に幹細胞の情報を知っていただき、活用していただきたいと思っています。
当機構は、そのために当サイトを通して、できる限り多くの情報を提供していきます。
また、今、目の前の問題を抱えている方からご相談をいただいた際には、少しでもお力になれるよう、個別でその方に応じた情報を提供をさせていただきます。
当機構の詳しい役割や、幹細胞に関する最重要事項はこちらの記事で解説しています。
是非一度ごらんください。